多数決で決めてしまった結果
自民党の総裁選が佳境を迎えていますが、 個人の選好順位 が 選挙 にどの程度反映されているのでしょうか? 架空の選挙で、具体的に考えていきましょう。 1 . 会社の業績を左右するマーケティングの重要事項に関して、A案、B案、 C案が提案されています。 2 . 次の役員会でその重要事項が議論されるため、7人の役員は、 事前に検討し、A案、B案、C案について、第一推奨、第二推奨、 第三推奨を考えているようです。詳細は、 下図を参照してください。 3 . 役員会での議論の後、各案に関して多数決が行われました。 各案に一票を投じるというものです。 4 . その結果、A案とB案が3票づつで同率一位となりました。 5 . そこで、A案とB案とで決選投票になり、4対3で、 A案に決まりました。 6 . 本当に、このような多数決でいいのでしょうか? 7 . 逆に、A案、B案、C案の中で、一番悪い案はどれか、選挙で決めてみましょう。 8 . なんと! 一番良い案と一番悪い案が、同じもの になってしまいました! 決選投票までもつれた場合、なんとなく、 メンバーの選好順位が反映されていないのではないかと漠然と不満 が湧き出ることがあります。 このような事実(データ)に基づいた選挙分析をしていくと、 そういった不満をすっきりと説明できるのではないでしょうか? ちなみに、 この資料は2013年に開催されたマーケティングのセミナーで使 ったものです。意思決定の方法はあまり進歩していないようです (決して、先の自民党の総裁選を表したものではありません)。 この資料は、ノーベル経済学賞受賞者である ケネス・ アロー の不可能性定理を紹介するために考えたものですが、人類の英知の象徴であるノーベル賞の成果が実社会ではあまり活かされていないようです。実務でも、このような事はありがちなので、データ思考を身に付け、個人の選好順位が意思決定に十分の反映される方法を考えていきましょう。